注文していた「中銀カプセルタワービル 最後の記録」が届いたので読みました。
掲載されているのはカプセル内の写真、読み物、間取り図。計200ページもあって見ごたえがありました。人が住んでいるカプセルはそれぞれカスタマイズされていて狭くても居心地が良さそう。「この空間が好き」というのが伝わってきます。無くなってしまったのが惜しい。
傷みがひどく、住めなくなったカプセルの写真も掲載されていました。もうジャンルが廃墟写真に近いんですが、その手の写真も大好きなのでお得感がある。
人が住まなくなった家は急激に劣化してしまうというのをよく聞きますが、こういうことなのかなと思ったり。製造されたタイミングはどのカプセルもそう変わらないですよね? もちろん日当たりとかいろんな条件があるんでしょうが……。
このサイトでビルの中を見学できます。すごい技術。感謝しかない……
https://archihatch.com/archicle/2040/
廊下を歩くのも楽しいし、ドールハウス視点で見たとき「基幹部分は固定で部屋だけ交換して使っていく」という当初の思想、メタボリズムがスッと理解できる気がします。
部屋をモジュールとして捉えて付け替える、ていうのは国際宇宙ステーションっぽいですよね。関係あるのかな。このメタボリズムという考え方がまたいつか地上のどこかで実現してほしい。
中銀カプセルタワービルはメンテナンスしつつ200年間維持できるように設計されたのに、その思想と計画を継ぐ者が絶えて50年で取り壊される、という結果になったのが皮肉というか……人間は愚か……と思ってしまいます。長期スパンの計画は財団か宗教法人か秘密結社か何でもいいんですが、とにかくその思想を金科玉条とする強い団体が必要……非課税の5000兆円さえあればビルを維持するためだけの財団を作るのに……あるいは重要文化財とか世界遺産的なやつに登録する……
でも長野にメタボリズムの思想を受け継ぐ宿泊施設があるそうです。楽しそう。
https://www.capsule-architecture.com/
そしてタワーから外された部屋は各地の美術館などに展示される可能性がある、とのこと! もう本物を見る機会はないんだろうなあと諦めていたので嬉しい。行ける距離の美術館だったらもっと嬉しい。本の中でも言及されてたけど名古屋市美術館に来てくれないかな……黒川紀章氏つながりで……
他にも何冊か中銀カプセルタワービルの写真集が出版されてるのでそっちも気になっています。でも写真集って高いしあんまり気軽に買えないよねーお値段に見合う価値があることが多いし実際に赴くことを考えたら充分安いし、なくなってしまう場所の写真はこれ以上増えないので所有しとくのがいいに決まってますが。5000兆円あれば秒で買うんだけど。