梨木香歩さんの「不思議な羅針盤」を読みました。
日常の小さな出来事や思い出から著者の持論が展開していくエッセイ集。
もくじ
万物照応
correspondingこそが魔術の基本と聞くけれど、なるほどそういう意味では確かに梨木さんは魔女に違いない。
「西の魔女が死んだ」等でも触れているように、もともとそちらの方面(薬草魔女とかグラウンディングとか)に造詣が深い方なのだと思う。少し不思議なエピソードも掲載されている。でもガッチガチのスピリチュアルまでは行かないバランス。
あとがきで著者が断りを入れている通り、連載開始が2007年で世の中が右寄りになっていた時期であり、警鐘を鳴らすような文章もいくつかある。しかし現在は当時より右傾化しているし軍拡しているため本の中では極端な例として出されている全体主義的な価値観も現実感のある話となってしまったように思う。残念ながら。
個人的に「へ~~」となったエピソード
オモダカ
植物が登場するエッセイが多い。最近ポケモン経由で「オモダカ」という植物があるのを知ったんだけどこの本にも出てきた。現在、除草剤を使われ続けたため薬に耐性のあるスーパーオモダカとなっているらしい。語感はいいねスーパーオモダカ。
夜に読書をする
「一日中真夜中だったらいいのに」と10代の頃夜更かしして本を読みながら考えていた、というエピソードがあるんだけどよくわかる。もう無責任に夜更かしできる環境じゃないんだけどそういう時期があったことを思い出します。そして私は「ずっと真夜中でいいのに」という音楽ユニットがうっすらと好きでよく聞いてました。
作中で紹介されて気になった本のメモ
「鷲の唄」椋鳩十 ※「大造じいさんとガン」の作者。サンカ(山窩)の話らしい。
「燈火節」片山廣子(松山みね子)
「森は生きている」サムイル・ヤコヴレヴィチ・マルシャーク
「真夜中にジャムを煮る」平松洋子